近年、ペットフードはどんどん多様化!できるだけ体に良いものを選びたいし、美味しく食べてほしいし、自分のことではないからこそ悩みは尽きないですよね。
この記事では、動物看護師のみそねこがペットフードの表示の見かたと添加物について解説します。
ペットフードの添加物は悪者?無添加じゃなきゃだめなのか?
●添加物とは
食品添加物は保存料、着色料、甘味料、香料など、食品の製造過程または食品の加工、保存の目的で使用されるものです。食品添加物(厚生労働省HP)
日本ではペットフード安全法(環境省)によって、カビ毒や農薬、重金属などと同様に、ペットに有害な添加物について、含有量を厳しく制限しています。
添加物 | 制限していること(例:ドライフード1gあたりに) |
エトキシキン・BHA・BHT | 合計150μg/g以下 犬用では、エトキシキン75μg/g以下 |
亜硝酸ナトリウム | 100μg/g以下 |
プロピレングリコール | 猫用のペットフードには使用してはならない |
●なぜペットフードに添加物が入っているの?
ペットフードは使用される原材料に様々な加工をすることで、栄養バランスや嗜好性、保存のしやすさが保たれています。消費者である飼い主が求める便利なペットフードを作るためには、添加物も必要な場合もあります。ペットフード安全法によって定められているので、ペットフードのパッケージには使用した添加物が記載されています。
①保存料、酸化防止剤
カビや微生物の発生を防ぐのが保存料、油分の酸化を防ぐのが酸化防止剤です。
一般的にメインの食事として利用されることが多いドライフードは保存料と酸化防止剤を使うことで利便性が高くなり、開封後も1ヶ月ほどは酸化を防いでくれるので長期間保管ができます。
この2つはドライフードには欠かせない添加物と言えます。
②甘味料、香料、増粘安定剤
甘味料は甘みを、香料で風味をつけてペットの嗜好性を良くしています。また、増粘安定剤はジャーキーやセミモイストフード、ウェットフードに使われており犬が好むふかふかした食感を出しています。
③着色料
人の食品では、肉の加工品などによく使われる、発色を良くするための添加物です。
人は見た目で食品の鮮度を判断したり、美味しそうと感じるので、食品の見た目はとても重要ですが、犬や猫などの動物はそもそも色で食事を選んでいないので特に必要性はありません。当然、着色料はなんの栄養にもならないので注意しましょう。
④ビタミン、ミネラル、アミノ酸類
日本のペットフードは総合栄養食の基準としてAAFCO(全米飼料検査協会)が定める栄養基準を採用しています。犬、猫の必須栄養素の含有量が基準値内になるように調整するため、原材料だけだと基準に満たない栄養素が出てくる場合は、ビタミンミネラル、アミノ酸などの栄養素を添加してフードを製造します。または、フードの機能性をあげるために、特定の栄養素を添加している場合もあります。
●安全性について
日本で販売されるペットフードは「ペットフード安全法」という法律の定めるルールに則って製造、輸入、販売が行われます。
ペットフード安全法で規制されている添加物には、エトキシン、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシトルエン(BTA)、亜硝酸ナトリウムがあり、毒性試験をもとにフードの含有量の上限値を定めていますが、フードの酸化防止剤として使用される量は基準値の数百分の1などでごく少量なため、健康に害があるような量ではありません。
また、犬のジャーキーやセミモイストに使用されるプロピレングリコールは、猫では少量でも毒性がある可能性があるため、猫用製品へ添加は規制されています。
日本で販売されるペットフードは、輸入品であっても添加物の毒性について安全な基準が設けられているので、正しく製品を使用するのであれば問題ないと言えます。
●添加物を避けたいときには
添加物は避けたい!でもいちいち酸化防止剤の名前とか覚えてられないし、聞き慣れない単語ばっかりで難しいよという方は、こちらを参考にしてみてください。
レベル1:着色料は避ける
犬や猫は赤色を認識できません。見た目よりも匂いや食感、味で食事を選んでいるので、着色料は避けてもなんの問題ありません。
レベル2:天然成分の酸化防止剤を選ぶ
ドライフードは、安全に保存するために酸化防止剤が含有されていなければなりません。でも、化学物質の添加物を避けたいという場合は、ローズマリーエキス抽出物やミックストコフェロール(複数の植物などから抽出したビタミンE)を酸化防止剤として使用しているフードもあります。
レベル3:缶詰のウェットフードを選ぶ
ドライフードは酸化防止剤、セミモイストやジャーキーなどの加工食品は腐敗を防ぐ保存料や食感を良くするための増粘安定剤が入っていることがほとんどです。
一方、密閉容器に入れて加熱処理済みの缶フードは、開封後すぐに食べることが前提で作られていて、熱処理によって殺菌されているため、腐敗することもありません。そのため保存料も酸化防止剤も必要ありません。着色料などの添加物はパッケージ表記をみて判断が必要ですが、より選びやすくなります。 ただし、保存料が入っていないので開封後は必ず冷蔵庫で保管し、3日以内に食べきれなかった場合は必ず破棄してください。
レベル4:無添加フード、ナチュラルフードを選ぶ
ナチュラル(またはネイチャー)のフードは科学的合成物及び着色料を使用していない場合にかぎりパッケージに表示することができます。ただし、総合栄養食に必要な栄養素は化学合成生物であっても使用することができます。
無添加フードは、添加物を一切使用していないことを指しますが、フードのパッケージに「〇〇添加物不使用」と記載されている場合には、何が不使用なのかを注意してください。着色料香料不使用としか書かれていない場合は、他の添加物は使用しているかもしれません。
まとめ
添加物はペットフードの安全性や利便性を保持するために使用され安全性も配慮されています。とはいえ、ペットの体にいいものばかりではありません。食の安全には様々な見方や考え方があって確固たる正解はありませんので、飼い主様ご自身の納得できる形でフードを選んでください。
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